不公正な扱いを受けたことがありますか。
それは昔でしょうか?今現在もそういったひどい扱いに苦しんでいるでしょうか?
不公正は今この世界に深く浸透している問題の1つです。
けれどもこれは今に始まったことではありません。
ベストセラーである聖書にはこのように述べられています。
「さらに私はこの地上で行われている虐げの行為全てに注意を向けた。私は虐げられている人たちの涙を見た。彼らには慰めてくれる人がいなかった。彼らを虐げる人たちには力があり,彼らには慰めてくれる人がいなかった」。(伝道の書4:1)
この書は、今から3000年以上前にソロモン王によって書かれました。
虐げられて涙を流す人たちの悲しむ声が聞こえ、誰も慰める人がいない。
こんな辛いことがあっていいんでしょうか。
名声も知恵も財産もあって、何もかも思いのままにできるであろうその方でさえ、当時の人々の間に蔓延る悲惨な状況を正すことはできませんでした。
現在でも不公正な社会を、人間がどんなに頑張っても正すことはできていません。
今の世の中を明確に表している聖句と言えるでしょう。
人間が創造されて以来、不公正な扱いや虐待とか偏見とか自由の抑圧が広く見られています。
不公正な扱いに苦しんでいる全ての人は、いち早く救われることを心から願っているに違いありません。
不公正な扱いを受け自由が押さえつけられると人はどうするでしょうか?
何が正しくて何が間違っているかについての鋭い感覚を人間は持っていますから、腹立たしく感じて、不公正な扱いからの解放を求めて行動を起こします。
法に訴えることもあるかもしれません。
政治的な不公正や人種問題などの大きな問題の時はどうでしょうか?
社会体制の不満とか不公正を訴えてちょっとでもそうした状況が改善されることをを願ってデモ行進とか抗議活動を起こします。
しかし抗議活動は時に、激しさを増して暴動へ発展することも少なくありません。
そうした場面をニュースなどで近年よく見るのではないでしょうか。
人間の力では、曲がっているものをまっすぐにするのは到底不可能であることを表していると言えるでしょう。
どこにももう望みはないのでしょうか?
ずっとこのまま不公正な世の中で苦しみ続けなければいけないのでしょうか?
人間がどこに問題解決を求めるべきかについて聖書は次のようにも教えています。
「神は岩のような方で,行うことは完全,神の道は全て公正である。決して不公正ではなく,信頼できる神。正しく,真っすぐな方」。(申命記32:4)
唯一物事を公正に扱うことができる方がおられます。
神エホバこそ正しいことを行われる方です。
物事を公正に扱うエホバに誰も今のこの世の中は習おうとしていません。
その結果、不公正がまかり通るままになっていると言えるでしょう。
過去から今に至るまで人間がどんなに不公正をなくそうと努力しても実現できなかったのは、エホバに導きを求めなかった結果であると言えるでしょう。
公正な神に倣わず導きを求めようともしない人々に囲まれているのに、この先、世界に公正が行き渡ることがあるでしょうか。
良い動機で不公正をなくそうと抗議運動などを行っているにも関わらず何も変わっていないのに、公正な世界が実現することに望みを置いて良いだろうかとお感じになるでしょうか。
この疑問を解決するには、神がこれまでどんな仕方で公正を示してこられたのか、それに関連してどんな約束をしてくださっているのか考えることが大切です。
不公正を正すためにどんな準備をしてくださっているでしょうか?
不公正をエホバはどのように正してくださいますか?
エホバにいつも導きを求めていた預言者ダニエルは興味深い幻を与えられて、次のように書き記したことがあります。
「この夜,私が見ていた幻の中で,今度は天の雲と共に人の子のような者がやって来た。その者は年月を経た方に近づくことを許され,その方のすぐ前に連れてこられた。その者に統治権と栄誉と王国が与えられ,あらゆる民族や国や言語の人々が彼に仕えるようにされた。その統治は終わることなく永遠に続き,その王国は滅ぼされることがない」。(ダニエル書7:13,14)
ある1つの王国が設立されたこと。その王国の王に全ての人が仕えるようになり、その支配が永遠に続くことがわかります。
これまで地上に存在してきたどんな政府や王国とも大きく異なっていると思われないでしょうか。
天から統治するこの王国は、神エホバが作りました。一切人間社会を源としていませんから、完全な公正を実現することができます。
どんな政府や支配者でさえも永遠に治め続けることはできませんでした。
徳川幕府は、15人の将軍が跡を継いでいく形で約260年以上治め続けました。ブルネイという国の国王は今も現役で50年以上も即位しているそうです。
でもどんなに頑張っても永遠とは程遠いのではないでしょうか。
もっと肝心なのは、支配者や国が完全な公正を実現してきたかということです。
国民の誰1人として不自由なく生活でき、不公正を一切感じない世の中になっているでしょうか?
世界的に見ても自分が暮らしている国や周りの地域社会などをみても、その答えはノーという以外ないのではないでしょうか。
でも間もなく完全な公正を実現する神の王国が、人間の政府に代わって地球全体を治めるようになります。
神の独り子であるイエスがこの王国を支配して公正や正義を実現してくださいます。
預言者イザヤはイエスの支配がどれだけ素晴らしいものなのか、具体的に次のように述べました。
「私たちのために子が生まれた。私たちに男子が与えられた。彼は肩に統治の責任を負い,素晴らしい助言者,力強い神,永遠の父,平和の統治者と呼ばれる。彼の統治は限りなく栄え,平和がいつまでも続く。彼はダビデの王座につき,王国によって統治する。その王国は公正と正義によって確立され,今もこれからもずっと存続する。大軍を率いる熱心な神エホバがそうならせる」。(イザヤ書9:6,7)
イエスは人間の支配者とは桁違いの責任を負ってくださるということです。
素晴らしい助言者であるとも書かれています。
並外れた理解力や最高度の能力をお持ちですから、これまで地上に存在してきたどの支配者にも解決できないような問題も、すぐに解決することがおできになります。
不治の病にかかった人を癒したり、大勢の人に満遍なく食事をさせたり、自然さえも制御する強力な力強さもお持ちです。
こういった力を用いて戦争や争いの根本的な原因を取り除いて、地球全体を1つの支配のもとで公正な世界を実現してくださるのです。
それは永遠にずっと存続します。
これは飽くまで預言で、実現させることは難しいのではないかと感じますか?
イエスが王になる前地上に人間として存在した際に、公正を実現できる優れた王であるということをどれだけ実証してきたか考えてみたいと思います。
際立った点として、自分ではなく神の王国に注意を向けるよう人々を教えたという点を挙げることができるかもしれません。
地上での生涯のほとんどを伝道に費やし、その際に病気や不調を抱える大勢の人を癒したり、時には死者を復活させることもありました。
こういった奇跡を行ったのは、ご自身が注目を浴びるためではありませんでした。
将来私たちのために、王国の王として地球規模でどんなことを行うのか、また私たちがどうにもできない問題を、王国とその王イエスには解決する力があるということを教えるためにそうされました。
このような強い力を持っていると、当時の政治とか社会の仕組みを変えることも簡単にできたはずです。
でも、イエスはそうされませんでした。
王になる時はまだ先で、今ご自分が取り組むべき事柄をわきまえておられたので、政治に関わったり世直しのようなことは行いませんでした。
むしろ神の王国を求めて信頼するよう弟子たちに教え、王国が来るようにまた神が望まれることが行われるよう祈るように教えたことさえありました。
実際にイエスが行った奇跡で、全ての人に公正が示された1つの出来事を聖書から見てみたいと思います。(マタイ7:14-21)
イエスが群衆にお話をされた時、5000人の男子と女性や子供たちがいました。おそらく1万5000人はいたんじゃないかということがわかります。
イエスはこの大勢の人たちに神の王国について教えて、病気の人を癒してあげていました。人々の状況を見て本当にかわいそうに思って、純粋な親切を示したわけです。
もう時間が遅くなってきていて、人々も空腹である様子をイエスは見てとりました。
少量の食料しかありませんでしたけども、エホバに祈ってからパンを割って弟子に渡し、次いで人々に行き渡るようにされます。
自分に注意を向くようなパフォーマンスをするのでなくて、まずエホバに感謝や賛美を捧げて導きを求めてからなさったことがわかります。
自分の手から直接渡すのではなく、弟子たちを通して人々にパンが行き渡るように組織立って物事を行いました。
全ての人が公正に扱ってもらえここに来て本当によかったと感じたのではないでしょうか。
この記録以外にもイエスは沢山の奇跡を行いましたが、神の王国の王として将来何を行うのか、人々はそれを見て理解できたに違いありません。
神が王国とその王によって完全な公正を実現するためにすでに準備をしてくださっていること、そのことを確信できるようイエスの地上での歩みが私たちにどのような点を教えてくださっているのかを聖書から理解できました。
では将来、具体的にどんな変化を期待することができるでしょうか?
公正をもたらす王国とその王イエスの支配のおかげで、人種とか国籍とか性別とか年齢など関係なく、皆が生活に満足して一致することができます。
では、神の王国が事情を治める時に生じる具体的な変化4つについて短く考えていきましょう。
①みんなが地球の資源を分け合って経済格差がなくなる
現在世界中の多くの人は、生活がどんどん苦しくなっていると感じているようです。
皆さんはどうでしょうか?食料品や日用品も値上がりして、必需品なのに買うことをためらうことがあるかもしれません。
食事すらまともにできず、生きていくのがやっとという人がいる一方で、有り余る富を自慢して毎日を安楽に生きる人たちもいます。
でも、神の王国のもとではそれはなくなります。
体に良い食べ物が全ての人に行き渡り、飢えを感じたり栄養不良で苦しむこともなくなります。
誰かが資源や食糧を独占して必要な人に行き渡らないということは一切ありません。生活に必要なものが必ず手に入る社会が将来生じます。
本当に素晴らしい変化ではないでしょうか。
②人種や民族の違いで差別されることがなくなる
現在世界中に、人種や民族の違いによる差別とか偏見というものが溢れています。
自分の国や民族の方が優れているという考え方が溢れていて、そこから差別が始まって、時には集団虐殺にまで発展するケースさえあるでしょう。
でもエホバの考え方は違います。
「そこでペテロは話し始めた。『神が不公平ではないことがよく分かりました。神を畏れて正しいことを行う人はどの国の人でも神に受け入れられるのです』」。(使徒10:34,35)
神は決して不公平な方ではありません。
神を畏れ導きを求め、神が求めていることを行う正しい人は、どんな民族人種であろうと受け入れてくださいます。
さらにみんなが一致してエホバを崇拝するので、宗教の違いによる争いがなくなります。
イザヤ11章9節には「エホバについての知識が地上に満ちる」と書かれています。
現在、地球上には沢山の宗教があって戸惑ったり、騙されたり、宗教間の戦争などもあるかもしれません。
それはもう過去のものとなります。
世界中が真の崇拝の崇拝によって1つに結ばれ、神の正しい基準について学んで、その基準に従って生きるようになる時代が到来するということです。
③家庭が誰にとっても憩いの場となる
現在様々な国や地域で宗教とか人種の違いで不公正が生じていますが、残念なことに家庭でも家族が非難し合って暴言を吐いたり虐待をすることが見受けられます。
神の王国の支配のもとでは、家庭内においてさえそうした不公正はなくなります。
イエスが奇跡によって大勢の人に食事をさせました。
子供であっても、女性であっても、男性であっても、そこにいた皆がお腹いっぱいになって満足できたのではないでしょうか。
神の方法にイエスが倣って物事を扱って、みんながそれに従ったので上手くいきました。
家族の成員1人1人がそうしたエホバの方法に倣うことによって、家庭が平和で憩いの場となる時が来るのです。
本当に待ち遠しいのではないでしょうか。
でも今、何らかの不公正を経験していて、すぐにでもなんとかしてほしい助けてほしいと感じておられる方も、もしかしたらおられるかもしれません。
問題の内容によっては、出口とか解決策が見つかるかもしれません。
聖書には「聡明な人は危険に気付いて身を隠す」というような格言があります。(格言の書22:3)
どんな状況で自分が不当な扱いを受けそうか予測して、可能な限りそうした状況から逃れるようにするのは良い方法の1つです。
不公正な扱いを受けていても、こうした聖書のアドバイスに耳を傾けて生活に役立てるなら、辛い状況をいくらか軽減することができるかもしれません。
でも場合によっては法的な手段に訴えなければならないようなもっと大きな不公正の問題もあるかもしれません。
そうした時は、パウロが1世紀にしたように法的な手段に訴えて、物事を解決してもらう方法も取ることができるかもしれません。
フランスの税務当局がエホバの証人の法人に法外な税を課したことがありました。この不当な措置に異議を申し立てて、ヨーロッパ人権裁判所に提訴しました。その結果約6年後に、エホバの証人側の勝訴判決が出されました。取り立てた金額を利息を含めて返還するようにという命令も出されました。
このように現在でも公的な機関が法律や人権などの権利に則って物事を扱って、こうした不公正を正し悪行者を罰するということもあります。
こうした手段を用いても、どうしても公正な扱いを受けられないという時はどうしたら良いでしょうか?
「神の力強い手の下で謙遜になってください。そうすれば,神はやがて皆さんを重んじてくださいます。そして,心配事を全て神に委ねましょう。神は優しく気遣ってくださるからです」。(ペテロ第一5:6,7)
すぐそばで支えてくださるエホバ神に、祈りで自分の問題や悩みを打ち明けてください。
全面的にエホバに委ねて、全てお任せしましょう。心の中にある心配事も全部エホバに話してください。
祈ったからと言ってすぐに状況が変わるものではないとお感じになるでしょうか?
人間を苦しめている問題は今後どうなるでしょうか?
聖書には何と書いてありますか?
神の王国によって解決されるという希望を、私たちはエホバから頂いているのではないでしょうか。また希望が必ず実現するという確かな証拠も聖書からたくさん得ています。
こうした言葉をよく考える時、不公正がいずれ正されると心の中で確信に変わって、不公正な問題も忍耐することができるかもしれません。
さらに自分自身の内面を強化するのも良い方法の1つです。こんな性質を身につけることができるかもしれません。
「一方,聖なる力が生み出すものは,愛,喜び,平和,辛抱強さ,親切,善良,信仰, 温和,自制です。このようなものを否定する律法はありません」。(ガラテア5:22,23)
不公正な世の中にあってどれも大切な性質と言えるのではないでしょうか。
皆さんは特にどれを強化したいと思われましたか?
辛抱強さや親切や自制でしょうか。
自分に不利なことがあるとすぐにカッとなったり、我慢ができない人たちが増えています。
辛抱強さや自制が身についていれば、不当な扱いを受けても怒りの感情を抑えて穏やかでいることができます。
問題を拗らせずに済むことができます。
こうした良い特質を身に着けて、どうしたらいつでも良いことを行えるか常に考えていきたいと思います。
私たちにとって希望とはなんでしょうか?
それは不公正な扱いをはじめ、偏見とか虐待とか自由の抑圧、そうしたものを全てエホバがなくしてくださるという素晴らしい約束です。
約束を果たすための大切な役割を神はイエス・キリストに任せて、それを必ず実現してくださるという希望もあります。
私たちはそのような希望で心が満たされるようにする必要があります。
神の将来の約束やそれを必ず実現させる力をお持ちであるということを考え続けるようにいたしましょう。
そうする時、心は喜びや安心感また平和で満たされることになります。
不公正なことが溢れる時代ですが、私たちには確かな希望がたくさんあります。
自分ではどうしようもないと思えるような大変な状況でも、将来必ず神の王国が世界に公正を行き渡らせてくださいます。
ではこれからも神の王国とその王であるイエスを信頼し続け、真の公正が行き渡る時を正しい動機で待ち続けるようにいたしましょう。