ある女性が英国のテレビ局に電話をかけて、「嵐が近づいていると聞いたのですが」と問いかけました。
天気予報士の担当者は「ご心配なく、そのようなことはありません」とテレビを通して視聴者に回答しました。
ところがその夜にイングランド南部は恐ろしい嵐に見舞われます。
1500万本もの樹木が倒されて19人の死者が出て14億ドルを超す被害が残りました。
私たちの多くは毎朝、天気予報を見たり聞いたりして、その日に何を着るのか、傘は持ってった方がいいのかということを決めます。
その日1日の将来に備えるということです。
将来が確実に分かっているならば、どのようにこれから生きればいいのかという方向性というものが見えてきます。
先ほどのテレビ局からの情報も、夜には嵐が来ますと正しい情報が伝わっていたのであれば、昼間のうちに嵐に対応する備えをすることができていたはずなのです。
こんな映画やドラマを見たことないでしょうか。
将来を知る謎の男が現れて「2030年11月16日にとんでもないことが起こります。それを避けるためその日は外に出てはいけない」と警告だけして去っていきます。
その言葉を信じてカレンダーに印をつけます。
その日有休を取って休みを取ったんですけども、会社から呼び出しが来ます。「絶対に予約が取れないというレストランの予約ができました」食事の誘いです。
私たちの将来を教えてくれるその謎の男がいるとしたら、話を聞いてみたいと思いますか?
自分の将来を知りたいと思いませんか?
「最初の事柄はすでに起きた。 今,私は新しい事柄を告げている。それらが生じる前に,あなたたちに知らせよう」。
(イザヤ42:9)
「最初の言葉はすでに起きた」とあるように、すでに成就した言葉が沢山あることがわかります。
そして「新しい事柄」これから生じることを私たちに知らせようとしていることがこの聖句からわかります。
謎の男というのは、唯一の神エホバのことです。
過去においてエホバの語られた言葉は必ずその通りになって、将来に起こる事柄に関しては聖書を通して私たちに知らせてくださっているということです。
私たちはそれを調べて、それに備える行動ができるということなのです。
今日は私たちに関係があるダニエル2章の預言、すでに起きた事柄、これから起きる事柄をお伝えしていきたいと思います。
この預言は約2600年前に語られたもので、そこに記されているバビロンは現在はイラクの辺りにある地域になり今は遺跡となっていますが、当時は世界の世界強国として大きな影響を持っていました。
このバビロンに語られた預言の書き出しはこのようになっています。
「ネブカドネザルは治世の第2年に,何度か夢を見て心が落ち着かず,眠れなくなった」。
(ダニエル2:1)
どんな夢だったのでしょうか?
「王は巨大な像をご覧になりました。
その像は非常に大きく,まばゆい輝きを放ち,あなたの前に立っていました。
恐ろしい姿でした。
像の頭は純金でできており,胸と腕は銀,腹とももは銅,すねは鉄,足は一部が鉄,一部が粘土でできていました。
あなたが見ておられると,1つの石が人手によらずに切り出され,像の鉄と粘土でできた足の所を打って,粉々に砕きました。
その時,鉄も粘土も銅も銀も金も全て粉々に砕けて,夏の脱穀場のもみ殻のようになり, 風に運び去られて跡形もなくなりました。
そして,像を打った石は大きな山となり, 地上全体に広がりました」。
(ダニエル2:31-35)
ダニエルの説明によると、頭は金、胴は銅、腕が銀、腹と腿が銅、脛は鉄、足は鉄と粘土でできていて、その足の部分に石が当たって象が砕け散り、跡形もなくなるという夢でした。
ダニエルがそれぞれのその金属部分が何を示しているか説明しています。
「王よ,あなたは王の中の王です。天の神はあなたに王国と力と強さと栄光を与えました。
また,至る所に住む人々と,野獣や鳥をあなたの手に委ね,その全てをあなたに支配させました。
…あなたこそが,金の頭です」。
(ダニエル2:37,38)
西暦前607年にエルサレムとその神殿を滅ぼし、世界支配者となったネブカドネザル王が「金の頭」であると述べています。
金は当時知られた金属の中で1番貴重なものでした。
ネブカドネザル王はバビロニア帝国を支配した1人の王様に過ぎません。
ですから、金の象の頭はネブカドネザルだけではなくバビロニア帝国が支配したその王全体を表しているということになります。
この夢を解き明かしてから約60年後西暦前539年、ダニエルはネブカドネザルの王朝の終わりを目撃することになります。
ダニエルは39節の前半でネブカドネザルにあなたに劣る別の王国が生じると述べています。
難攻不落と言われていたバビロンが攻め取られて、金の頭バビロニア帝国は存在しなくなったということです。
像の銀の胸と腕によって象徴されていたその王国はメディア・ペルシャ帝国で、バビロニア帝国に代わって世界強国となりました。
メディア・ペルシャはバビロンの王朝よりも劣ると表現されていますが、劣らぬ高度な文明というものが発達していました。
この国はエルサレムを首都とするユダを倒すという際立った役割を果たさなかったという理由で、バビロニアに劣る国と表現されたのです。
ですがこの国は世界強国として200年君臨します。
メディア人ダリウスは62歳の時に最初の支配者になり、ペルシャ人キュロスとしばらく共同で支配することになります。
ダリウスの死後、キュロスはギリシャ帝国の単独の王となり西暦前530年に戦地で死んだものと考えられています。
その後12人の王が現れてこの王朝を支配しますが、最後に登場したのがダリウス3世です。
このダリウス3世は西暦前331年、古代ニネベに近いガウガメラで惨敗を喫し、この敗北によってメディア・ペルシャ王国は終わりを告げます。
「次いで別の王国,3番目の銅のものが生じ,全世界を支配します」。
(ダニエル2:39)
この3番目に登場するのはギリシャです。
この世界強国もエホバの民を解放するといった特別な栄誉を与えられてないという意味でメディア・ペルシャよりも劣るものと表現されています。
しかしこの王国が全世界を支配するとダニエルが述べたことは注目に値します。
バビロンとかメディア・ペルシャよりも広い範囲に及ぶことを示唆しています。
ギリシャはどのようにして領土を広げていったのでしょうか?
西暦前336年、王位を継いでから間もない20歳のアレクサンドロス3世は征服のために軍事行動を行っていきます。
軍事面でその次々と勝利をしてペルシャの領土に進軍し、この時にアレクサンドロス大王と称されるようになります。
このアレクサンドロス大王は西暦前323年に、32歳という若さで病気になって間もなく死んでしまいます。
世界の支配者として8年間君臨しただけにすぎませんでした。
アレクサンドロスによって築かれたその広大な帝国は、その後4つの領土に分解され部下の将軍たちがそれぞれの王国を支配していきます。
その最後の王国としてエジプトで支配を行っていたプトレマイオス王朝が鉄で表される4番目の王国の手に落ちて終わりを迎えることになります。
西暦前30年のことでした。
「4番目の王国は,鉄のように強いものとなります。
鉄は他の全ての物を打ち砕いて粉々にしますが,この王国も,物を粉砕する鉄のように,それまでの王国を全て粉砕します」。
(ダニエル2:40)
この世界強国は打ち砕く強さと能力において鉄のようと表現されています。
金や銀や銅によって表されていた帝国よりも強くなることを意味しています。
ローマはギリシャ帝国を打ち砕いて粉砕し、過去に世界強国であったメディア・ペルシャとかバビロンの残存勢力たちも吸収していきます。
後にローマ人はユダヤ人の反乱を制圧して、西暦70年にはエルサレムとその神殿を滅ぼすということまでやってのけます。
「ご覧になったように,足とその指は一部が粘土,一部が鉄でできていました。つまり,この王国は分裂することになります。
ですが,鉄の硬さもいくらか持ち合わせています。ご覧になったように,鉄が軟らかい粘土と交ざっているのです。
足の指には鉄の部分と粘土の部分があるので,この王国には強い部分ともろい部分があることになります。
ご覧になったように,鉄が軟らかい粘土と交ざっていますから,強い部分が人々と交ざることになります。
しかし,鉄が粘土と結び付かないように,それらが一つになることはありません」。
(ダニエル2:41-43)
巨大な像の足の部分は、同盟関係にあった英米世界強国を表しています。
英国はローマ帝国から出た国で米国は英国から出た国なので、間接的な意味でローマから出たと表現することができました。
ですからその足に鉄が含まれていると表現されているわけです。
しかし注目できるのは、その鉄の足に粘土が混ざっているという点です。
粘土が混ざると鉄と同じような強度を出すことができません。
英米世界強国も母体であるローマより弱くなってしまうことを示しています。
これはどういうことでしょうか?
43節の「強い部分が人々と混ざることになります」という言葉から理解することができます。
この世界強国は強いとはいえ、柔らかい粘土で表されている一般の人々によって 力を弱められているということです。
それらの人々は、公民権運動、労働組合、独立運動、デモとかストライキなどによって自らの権利を主張して、国としてその声を聞き得ざるを得なくなってしまいます。
自由に政策が行えないということです。
ダニエルが「強い部分と脆い部分がある」というのは、そういう意味で述べたわけです。
まさに現在の様々な国の状態を表していると言えないでしょうか。
今は鉄と粘土が混ざった足の時代であるということです。
2060年前にダニエルはこの後どうなると予言していたでしょうか?
「この王たちの時代に,天の神は決して滅ぼされることのない王国を建てます。その王国はほかのどんな民にも渡されません。
これらの王国を全て打ち砕いて終わらせ,その王国だけが永遠に存続します。
山から1つの石が人手によらずに切り出され,鉄,銅,粘土,銀,金を打ち砕いたのを,あなたがご覧になった通りです。
偉大な神が,将来起きる事柄を王に知らせました。この夢は真実であり,解き明かしも確かです」。
(ダニエル2:44,45)
聖書の中で「山」は王国や政府を表すことがあります。
預言に出てくる「山」も同じ意味があって、エホバの永続する宇宙的な支配権、つまり全てのものを治める神の権利を表しています。
そして「石」はイエスを王とする天から治める神の王国を表しています。
イエスが支配する王国によって、象の各部で表されていた世界強国全てを打ち砕いて終わらせるということなのです。
啓示16章14節の類似した予言によると、「全世界の王たち」がエホバの敵として「全能の神の大いなる日の戦争」に集められるということが示されています。
これはつまり象に含まれる諸王国だけではなく、他の人間の政府全てがエホバによって滅ぼされることを示した預言であるということなのです。
ダニエル2章の預言がここまですでに実現していることを考えると、残りの部分も必ず実現すると信じる方が、私たちにとってプラスになるのではないでしょうか?
その将来に合わせて行動できるからです。
今の政府に期待するのではなく、神の王国が治める時を期待して待つ方が良いということです。
その神の王国が治める時、私たちの生活はどのように変わるのでしょうか?
身近な点として、食料供給について取り上げたいと思います。
朝のニュースでは、キャベツ1玉が700円だそうです。
これは様々な問題が関係しています。
環境破壊による気候変動がもたらす自然破壊によって植物が収穫できずに物価が上がる。
地球とその資源へのダメージを少しでも回復させようと誠実な努力がなされていますが、焼石に水でもう手がつけられないと危惧する人たちが多いようです。
地球とその資源を正しく管理されてない状態を除き去ることが必要です。
つまり今の人間がいる限り、その問題は解決しないということです。
では、そこに神が介入するとどうなりますか?
「地上には穀物が豊かに実り,山々の頂でも豊作になる」。
(詩編72:16)
山頂は寒かったり空気が薄かったりして、穀物の生産には適していません。
その山頂でさえ豊作になる地がいかに産出的かということをこの聖句から理解することができます。
食べ物が十分に供給されるので、誰1人1人として飢えを感じることはないのです!
人間を悩ます要因に病気をあげることも少なくありません。
今まさにその敵と闘っている方が多いかもしれません。
現在医療が進歩して病気はある程度制御できるようになってきましたが、この病気との闘いにおいて完全な勝利を収めるのは難しいと言えます。
ですから、神の王国の最高潮を成している約束は実に素晴らしいものです。
「『私は病気だ』と言う住民はいなくなる。その土地に住む人々は過ちを許される」。
(イザヤ33:24)
想像してみてください。病気の人は存在しないのです。
今皆さんを苦しめているその痛みから解放されます!
誰もがいつまでも健康でいられるのです。
皆さんが辛いと感じ、涙を流すのはどんな時ですか?
「神は人々の目から全ての涙を去ります。もはや死はなく、悲しみも嘆きも苦痛もなくなります。以前のものは過ぎ去ったのです」。
(啓示の書21:4)
神が拭い去ってくださるのは、死とか悲しみ嘆き苦痛を伴う涙です。
人が死んだ時に流す涙は本当に辛いものですね。
この約束は、人が死ぬときに流す涙がなくなる、つまり死がなくなるという約束なのです!
皆さんは病気のない世界を想像できますか?
病院、医師、看護師、健康保険、死体安置場、葬儀、墓地ありません。
戦いがない世界を想像できますか?
陸軍、海軍、空軍ありません。武器、戦争記念碑ありません。
犯罪がない世界はどうですか?
警備会社、警報システム、警察、鍵要りません。
このような世界が近い将来に訪れることを信じられますか?
信じられるのであれば、是非行動なさってください!
エホバは嵐が近づいています、安全なところに避難するようにと警告してくださっています。
その警告に従って行動しエホバの元に避難してこられたならば、嵐が収まるまでそこにとどまってください。
嵐の様子を見るために外に出ようなんて考えないでください。
嵐の後に待っている素晴らしいエホバの約束を心待ちにし、仲間と共に力を合わせてまいりましょう。