ノアの大洪水から学べること

航海日誌は船の運航に関する記録のことで、船の種類や大きさ、進路、速度、その日の天候、突発的な出来事が生じた時の時刻、乗組員の交代や船が立ち寄る場所などを、航海中は継続的に記録し続けていくことが法的定めによって義務付けられているものです。

ですから、嘘偽りなく書く必要があります。

この日誌を見るならば、その船はどのような経路をたどったのか、どんなことがあったのかが一目で分かるようになっています。

聖書中にも航海日誌と似たようなものがあります。皆さんがお持ちの聖書の中に、ノアの出来事が書かれています。

でもこの聖書に書かれていることは神話だとか物語だと述べる方が多くいます。実際にはどうなのでしょうか?

聖書の記述は全て真実で信頼できるものと言えます。それには数々の証拠があるからです。

例えば、ノアの洪水に関する出来事は創世記に書かれています。

創世記6章から書かれていますので、そこをどうぞご覧ください。nolog.link/s/8NU9hJ

7章11節を見ますと、ノアが600歳だった第2の月の17日に天の水門が開いたとあります。この日に洪水が始まったのです。12節を見ますと、それが40日間続いたこと、13節では息子の名前、また妻たち3人も一緒だったことが書かれています。15節を見ますと、あらゆる生き物が2匹ずつ箱船に入れられたことが分かります。

8章4節では第7の月の17日にアララトの山地に止まったこと。13節ではノアが601歳だった年の第1の月の1日に水がはけていたこと。こうしたことが事細かく載せられています。

起こった出来事、箱船の状態、日付や時間的要素など本当に事細かく載せられています。筆者であるモーセがこの出来事を、実際の出来事と見なしていたことを強調していることがわかります。

ですから航海日誌同様に聖書に書かれていることは、嘘偽り、神話的な作り話などではなく、実際に起きた出来事だということができます。

もう1つ証拠があります。目撃証人がいるという点です。それはイエス・キリストです。

聖書によるとイエスは地上に来る前に天で存在しておられました。イエスはエホバと一緒に全てのものを創造されました。ですから、ノアの時に起きたこの一連の出来事も目撃していたのです。

その証拠に、マタイ24章38、39節の中でその当時の状況が書かれています。

「洪水前のその時代,ノアが箱船に入る日まで,人々は食べたり飲んだり,結婚したりしていました。そして,洪水が来て全ての人を流し去るまで注意しませんでした」。

イエスが実際に見ていたので、当時の人々の状況をよく把握していたことがわかります。

他にも証拠があります。

この大洪水は世界的規模で生じていることから、ある土地にしかいない動物が洪水によって死にそれが流され、違う土地の地層の中から化石として発見されています。

さらには世界中で語り継がれている洪水伝説も、その内容のほとんどが聖書の記述と一致しているのです。例えば、少数の生存者のための避難所があったことや、そのほかの命が水によって滅んだこと、人類の種が保護されたことなどです。

こうした数々の証拠からも、このノアに起きたこの大洪水は実際の出来事と確信することができます。

これは本当に重要なことです。今の時代の私たちにも大いに関係している事柄だからです。

なぜこのノアの記述と今の私たちが関係しているのでしょうか?どのように関係しているのでしょうか?

目撃証人であるイエスは、当時の人々の行動の故に洪水を起こしたということを述べていました。

「人の子の臨在の時はちょうどノアの時代のようになります」。(マタイ24:37)

「人の子の臨在の時」というのは、イエスが天で王として治める時代のことです。

その時、ノアの時代と同じようになることを述べています。つまりノアの時代と今の私たちの時代に共通点があることがわかります。

このノアの大洪水は、今の私たちに対する警告でもあります。

エホバ神はなぜ洪水を起こしたのでしょうか?その理由がわかれば、この「人の子の臨在の時」に生じる事柄を私たちは理解することができます。

ノアの時代と今の私たちの時代にどんな共通点があるのでしょうか?

「洪水前のその時代,ノアが箱船に入る日まで,人々は食べたり飲んだり,結婚したりしていました。そして,洪水が来て全ての人を流し去るまで注意しませんでした。人の子の臨在の時もそのようになります」。 (マタイ24:38,39)

ここでは、食べたり飲んだりという言葉が書かれています。これ自体は何が悪いのだろうかと思うかもしれません。

しかしこの時代は暴力がはびこり、道徳基準も低下し、不道徳行為も当たり前のものとなっていました。さらにエホバ以外の神々を多くの人々は崇拝していたのです。

エホバはノアを通して何度も何度も人々に注意し、警告を与えました。しかし彼らは警告を無視していたのです。

警告には見向きもせず食べたり飲んだりという普通の生活を送っていたのです。それ故にエホバは洪水を起こして滅ぼしました。

現代ではどうでしょうか?

ペテロ第二3章3節では「終わりの時代には,あざける人たちがやって来てあざけり,欲望のままに行動」すると述べられています。

エホバは私たちを用いて神からのメッセージを伝えていますが、多くの人々の反応は無関心です。警告の音信を無視しています。

私たちの行う伝道を非難したり、時には暴力を振るうことも見られています。国によっては政府が関与し、私たちの活動を禁止することも見られているのです。こうした点でも、ノアの時代と今の私たちの時代は似ているかもしれません。

なぜ人々はその警告を無視するのでしょうか?

邪悪な天使が私たち人間を惑わしているからです。

この天使とは何でしょうか?目に見えない強力な存在で、人間より前に神によって創造されたものです。その数は何億とも呼ばれています。

彼らは初めから邪悪なものとして創造されたわけではありません。

「真の神の子たちは,人の娘たちが美しいことに気付くようになった。そして気に入った女性たちを妻にしていった」。(創世記6:2)

彼らは「真の神の子たち」です。ですから良いものとして創造されました。

サタンもの天使の1人でした。真理のうちにいましたが、それを捨ててアダムとエバを誑かしました。それは自分もエホバのように崇拝されたいという邪悪な心が芽生えた故にそうなりました。

邪悪な天使たちも神に従わなくなり、サタンに加わって自ら神の敵となりました。

彼らは反逆的で堕落した超人間的な力と知力を用いて人間に破壊的な影響を及ぼし、人間社会を支配しようとしています。多くの人々に神の考えではなく悪い考えを植え付けていったのです。

それは今現在でも続いている状態と言えます。

先ほどの創世記6章2節の後半をどうぞご覧ください。邪悪な天使たちは地上に住む女性を見て性関係を持つために地上に降り、そのために不道徳が蔓延していきました。

現代ではどうでしょうか?

今の時代、性的不道徳というものが当たり前のようになっています。ノアの時代よりも低下していると言えるのではないでしょうか。

インターネットや映画やテレビこうしたものを用いて、特に性に関する神の基準を下げて、思いを麻痺させています。

「それで,神は彼らが恥ずべき性欲に溺れるままにしました。女性は自然に反して女性同士で関係を持ち,男性も女性と自然な関係を持つ代わりに男性同士で欲情を激しく燃やし,みだらなことを行って十分な罰を受けました。過ちに対して当然の罰です」。 (ローマ1:26,27)

この言葉の通りになっていると思われるのではないでしょうか。

自然に反する関係、男性同士また女性同士での性関係を認めているのです。それが今では当たり前のようになっています。多くの国ではそれを認めています。

他にもこの邪悪な天使によって影響を受けたものがあります。

「一方,地上は,真の神から見て堕落していて,暴力があふれていた」。(創世記6:11)

暴力がノアの時代の1つの特徴となっていました。現代ではどうでしょうか?

ニュースなどを見て暴力に関する事件は後を絶たないと多くの方は感じています。それは年々悪化していると言えるのではないでしょうか。

親が自分の子供を、あるいは子供が自分の親の命を奪う。こうしたものがよく見られています。それも大した理由もなくそうしています。自己中心的な考えによってそうしているのかもしれません。

命が大切なものという認識がずれています。感覚が麻痺していると言わざるを得ません。

ここまでで4つ共通点を挙げました。エホバの警告を無視したり、邪悪な天使の存在によって道徳の乱れがあったり、暴力が見られました。

他にもたくさんありますが、エホバは今のこうした状況を見てどう行動するのでしょうか?

「彼らは故意に次のことを無視します。昔から天があり,神の言葉によって地は水から出て,また水に囲まれて,しっかり立っていました。そして,それによって当時の世界は洪水に見舞われ,滅ぼされました。同じ言葉によって,今ある天と地は火で滅ぼされることになっています。神を敬わない人々の処罰と滅びの日にそうなります」。(ペテロ第二3:5-7)

ノアの時代エホバはノアを通して何度も警告を与えました。しかし人々はその警告を無視していました。エホバは言葉通りに洪水によってそうした人々を滅ぼしていきました。

ここでは「同じ言葉によって」そうなるとエホバは宣言しています。

神を敬わない人々を滅ぼし、地球から悪を完全になくすということが、ここからも分かるのではないでしょうか。

ノアは信仰のゆえに命を得ることができました。では私たちはどうすることができるでしょうか?

「信仰によってノアは,まだ見ていない事柄について神から警告された後,神への畏れを示し,自分の家族を救うために箱船を建造しました。そして,この信仰により世を断罪し,信仰のゆえに正しいと認められました」。 (ヘブライ11:7)

ノアは過去のエホバに信仰を示した人の出来事から、エホバからの警告は信頼できると確信していました。それ故に、エホバから箱船を作るように指示された時も、50年ほどかかりましたが、それに従うことができました。

多くの不安を感じたかもしれません。本当にその日は来るのだろうかと考えたかもしれません。その間もエホバからの警告を伝えなければなりません。馬鹿にされたり、不安で仕様がない気持ちだったかもしれません。

でもノアとその家族は最後までエホバを信じ、そして信仰を示すことができました。

私たちもそうすることができます。ノアのような信仰が必要であることがここからわかります。

私たちも具体的にいつ終わりが来るのかはっきりと知らされてはいません。それまでの間、多くの試練や圧力というものを経験するかもしれません。

でもエホバは間違いなく、ノアとその家族を保護し守ったように私たちを守って救ってくださいます。耐えられる力を必ず与えてくださるのです。

ノアは周りが警告に無関心なので仕方がない、自分たちだけが助かろうなどとは考えもしませんでした。エホバは良いというまで、何度も警告し続けていきました。

私たちも同じようにすることができます。

奉仕に参加し、話しても関心を示さない人は多くいます。訪問してもいないということもあります。消極的な気持ちになる時があるかもしれません。そのような時、ノアの記述を思い起こしていきたいと思います。

私たちの役割はノアと同じで、エホバからの指示通りエホバの言葉を熱心に伝えること、ただそれだけです。耳を傾けるかどうかは相手次第ということを私たちは覚えておきたいと思います。

周りとは違う生き方をするには、本当に勇気が必要です。ノアもそうでした。ノアと家族以外は全てエホバの基準から外れていた人たちです。

私たちの今の時代も同じと言えるのではないでしょうか。そのような時にも、このノアの記述を思い起こしていきたいと思います。

周りに影響されていないだろうか?自分はいつでも正しい行動を取れているだろうか?と自問していくことができます。

耐えられる力や勇気を与えてくださいとエホバに祈り求めることもできます。

「これらのものは全てこのように溶解するのですから,自分がどんな人になるべきかを考えてください。聖なる振る舞いをし,神への専心を行動に表し,エホバの日が来るのを待ち望み,それについていつも考えましょう。その日に天は燃えて滅び,さまざまな要素は極度の熱で溶けます」。(ペテロ第二3:11,12)

「聖なる振る舞いをし,神への専心を行動に表」すように述べられています。ですから私たちは、いつでも道徳的に清くそしてエホバへの信仰にふさわしい生き方を行っていきたいと思います。

私たちがノアのように生き残るためには、強い信仰が必要となっていることを、このノアの日の大洪水から私たちは学ぶことができます。

航海日誌は、嘘偽りなく書く必要があります。

前もって過去のそうした日を見るならば、これから起きる事柄に対してもある程度予測がつき、対処することができるに違いありません。

聖書も正しい言柄が書かれています。聖書に書かれている事柄は全て真実ですから、私たちはよく黙想し、研究していきたいと思います。

エホバに仕えた人たちがどうなったのか、エホバに仕えなかった人はどうなったのかが書かれています。私たちはよく黙想して、自分に当てはめていきたいと思います。

そうするならばいざというときに私たちは焦ることなく対処していくことができるに違いありません。

ノアの時代と現代の私たちの時代はどんな似た状況があったでしょうか?

まず1つにエホバからの警告を無視しているという点です。2つ目に邪悪な天使による惑わしによってそうなっています。3つ目はその邪悪な天使の影響によって性道徳が乱れ、4つ目は暴力がはびこっているという点で今の時代と似ていると言えます。

このような状況の中で、ノアとその家族はエホバからの指示に従って、結果命を得ることができました。私たちもノアに見習うことができます。

聖書に書かれている事柄は信頼できます。そうなると確信することができます。

エホバはモーセを用いて後の時代のエホバに仕える人々、私たちのためにこの聖書を残してくださいました。

モーセ自身もこの出来事を振り返って、難しい問題や試練に直面しても、エホバが必ず助け守ってくださる、力や勇気を必ず与えてくださることを確信したに違いありません。

私たちもこの聖書に書かれている記述をよく読んで黙想し、エホバへの信仰を培ってまいりましょう。

いつエホバが行動されるのか私たちははっきりとはわかりません。しかし次のエホバの約束は信頼に値するものです。

「ですからエホバは,神への専心を示す人々をどのように試練から救い出すかを知っています。また,正しくない人々を処罰の日にどのように確実に滅ぼすかも知っています」。(ペテロ第二2:9)

エホバに信仰を示す人を、エホバは必ず救ってくださると述べています。従わない人々を確実に滅ぼす手立てはもうすでに打っています。私たちは安心してエホバからの救いを待ちたいと思います。

神に仕える人々を素晴らしい楽園へと導いてくださいます。そこでいつまでも生きられるようにしてくださいます。そこでは邪悪な者は誰1人いません。その日は間もなく到来します。

では引き続き私たちはエホバに信仰を示してまいりましょう。エホバは与えてくださった聖書をよく読んで学んで黙想し、過去の記述から多くの教訓を得てまいりましょう。

エホバは必ず約束を果たしてくださいます。そのことを確信し、最後まで共に歩んでまいりましょう。